金曜の夕方、白紙のパワポを開いたまま1時間が過ぎる。私はこれを何度も繰り返してきました。
会社からは「AIを使え」と言われます。ところが、何にどう使えばいいのかを教えてくれる人はいません。ChatGPTに質問しても当たり前の答えしか返らず、結局いつもの手作業に戻る。そんな経験はないでしょうか。
- 白紙のパワポを前に固まる時間
- 過去の提案書を探し回る手間
- 上司の一言でやり直す徒労

提案書、まだ白紙から書いてるの?

AIに任せるのが怖くて、つい手が動いてしまうんです。

気持ちは分かるよ。でも全部書かせるんじゃなくて、骨組みだけ作らせてごらん。

骨組みだけ、ですか。

そう。白紙とにらめっこしてた30分が、まるごと軽減できるんだよ!

30分…毎週それが浮くんですね。

浮いた時間で、たまには定時に帰りなさい。
この記事では、私が実際に試して提案書の作成時間を半分に減らせた手順を、4つのステップで紹介します。専門知識は要りません。そのままコピーして使えるプロンプトも用意しました。
読み終わるころには、次の提案書から時間の使い方が変わっているはずです。
提案書に時間が溶ける3つの原因

提案書に時間がかかるのは、才能や経験の差ではないと私は考えています。
自分の作業を書き出してみたところ、時間を奪っていたのは作業そのものではなく、作業と作業のあいだの迷いでした。ここを先に把握しておくと、あとで紹介するChatGPTの使いどころがはっきりします。逆に飛ばしてしまうと、AIを使っても同じ場所でつまずきます。
白紙から書き始める非効率
提案書で最も時間を奪うのは、書き始めの30分です。
構成を考える作業と、文章を書く作業を同時に進めているからです。私は以前、新商品の提案書で表紙の次の1枚に40分かけました。書いては消すを繰り返し、残ったのはたった5行です。
白紙をなくすだけで、この30分は消えます。構成が先に決まっていれば、あとは埋める作業に変わるからです。
過去資料を探し回る時間
2つ目は、過去の提案書を探している時間です。
似た案件の資料があるはずだと分かっていても、共有フォルダのどこにあるかまでは思い出せません。私は月に何度も、10分から15分をこの捜索に使っていました。年間にすると数時間が消えている計算になります。
探す時間をゼロにはできません。ただ、探す目的が「使えそうな言い回しを写すため」なら、その大半はChatGPTで代わりが利きます。
上司の指摘による手戻り
3つ目が、提出したあとの手戻りです。
「結論が先に来ていない」「顧客の課題が書かれていない」。上司からの指摘は、たいてい中身ではなく型の話でした。型が外れていると、書き直しは1枚では終わりません。
裏を返せば、型さえ先に整えておけば手戻りは大きく減ります。そして、この型づくりこそChatGPTが最も得意とする作業です。
ChatGPT提案書の作り方4ステップ

ここからが本題です。私が実際に使っている手順を、4つのステップに分けて説明します。
大事なのは、ChatGPTに提案書を丸ごと書かせないことです。丸投げすると、それらしいけれど中身のない文章が出てきます。骨組みだけを任せて、事実と数字は自分で入れる。この分担に変えてから、私の提案書は上司に通りやすくなりました。
- ステップ1 骨組みを5案出させて1つ選ぶ
- ステップ2 見出しごとに200字で書かせる
- ステップ3 パワポの形に整えて貼る
- ステップ4 数字と事実を自分で裏取り
ステップ1 提案の骨組み作成
最初にやるのは、提案の骨組みづくりです。
ChatGPTに顧客の状況と提案したい内容を伝え、構成案を5つ出させます。全部は使いません。気に入った1つを選び、残りは捨てます。
ここでかかる時間は3分ほどでしょうか。白紙を見つめていた30分が、選ぶだけの3分に変わります。
ステップ2 見出しごとの肉付け
骨組みが決まったら、見出しごとに文章を足していきます。
コツは、1枚ずつ依頼することです。「提案書を全部書いて」ではなく「この見出しの本文だけ200字で」と区切ります。区切るほど精度は上がります。
出てきた文章は、そのままでは使いません。自社の言い回しに直し、実際の数字を入れる。ここは人間の仕事として残します。
ステップ3 パワポへの流し込み
文章がそろったら、パワポに移します。
私は「1枚あたり見出し1行と箇条書き3つ」という形式で出力させています。この形にしておくと、貼り付けるだけでスライドの体裁が整います。整形に使っていた時間が、ほぼ消えます。
図やグラフを考えるのは、ここからです。文章が固まる前に図を作ると、たいてい作り直しになります。
ステップ4 数字と事実の確認
最後に、必ず確認の工程を入れてください。
ChatGPTは、事実でないことをもっともらしく書きます。市場規模、シェア、納期。この3つはとくに危険です。数字は必ず一次情報で裏を取ります。
私はここで一度、痛い目を見ました。その話は後半の失敗談で触れます。
そのまま使えるプロンプト例文

ここでは、私が実際に使っているプロンプトをそのまま載せます。
使い方は簡単です。角かっこの中だけ自分の案件に書き換えて、貼り付けてください。それ以外はいじらなくて構いません。文章が硬いと感じたら、あとから「もう少しやわらかく」と追加でお願いすれば直ります。
骨組みを作るプロンプト
最初に使うのが、この骨組み用のプロンプトです。
あなたは法人営業の提案書づくりに詳しい先輩社員です。 以下の条件で、提案書の構成案を5つ出してください。 ・提案先:[業種と規模。例 中堅の建設会社] ・相手の課題:[例 現場ごとに資材の発注がばらばらで原価が読めない] ・提案したいこと:[例 資材の一括発注による原価の見える化] ・提出相手:[例 購買部長] 条件 ・1案につき見出しを5枚ぶんまで ・顧客の課題を最初に置く構成を必ず1案入れる ・専門用語は使わない
5案出てきたら、いちばんしっくりくるものを選びます。迷ったら、顧客の課題が最初に来ている案を選んでください。
文章を膨らませるプロンプト
骨組みが決まったら、見出しごとにこれを使います。
先ほどの構成案[番号]の、[見出し名]の本文だけを書いてください。 条件 ・200字以内 ・結論から書く ・専門用語を使わない ・数字が必要な箇所は[要確認]と書いて空けておく
200字という指定が効きます。字数を決めないと、必ず長くなります。また、数字を空けさせておくと、あとの確認作業が楽になります。
上司目線で指摘させるプロンプト
提出する前に、これを一度通してください。
あなたは厳しめの営業部長です。 以下の提案書を読んで、指摘を5つ挙げてください。 観点 ・結論が先に来ているか ・顧客の課題が具体的か ・数字の根拠が示されているか ・自社都合の話になっていないか [ここに提案書の本文を貼る]
自分では気づかない穴が出てきます。私はこれを使うようになってから、差し戻しが目に見えて減りました。
会社の情報を入れる際の線引き

ここは、いちばん慎重になってほしい部分です。
私も最初は怖くて踏み込めませんでした。ただ、線引きさえ決めてしまえば、怖さはかなり減ります。大切なのは「入れていいか」を毎回迷わないことです。その迷いこそが、仕事を止めているからです。
入れてよい情報の具体例
結論から言うと、公開されている情報と、相手が特定できない形にした情報なら問題ありません。
- 自社サイトに載っている商品情報
- 業界誌に出ている一般的な課題
- 「ある建材メーカー」と伏せた設定
- けたを丸めた概算の数字
私は顧客名を「A社」、金額を「数百万円規模」と置き換えて使っています。これで実用上は困りません。
絶対に入れない情報の具体例
逆に、次のものは入れません。
- 顧客の会社名と担当者名
- 見積金額と原価
- 未発表の商品情報
- 社内の人事や評価に関する話
一度送った情報は、取り消せません。迷ったら入れない。これだけ覚えておけば十分です。
社内ルールの確認手順
会社のルールは、必ず先に確認してください。
情報システム部門か総務に「生成AIの利用ルールはありますか」と一度聞くだけで済みます。聞いた事実を残しておくことが、自分を守ります。
ルールがまだ無い会社も多いはずです。その場合は、この記事の線引きを暫定案として提案してみるのも手でしょう。
ChatGPT提案書でよくある失敗

ここからは、私が実際にやらかした話です。
うまくいった話より、こちらのほうが役に立つと思います。同じ失敗を避けるだけで、AIを使う価値は十分に出ます。
事実と異なる数字の混入
いちばん危なかったのが、市場規模の数字です。
ChatGPTが出した「国内市場は約1兆2000億円」という数字を、私はそのまま提案書に載せました。提出前日に調べ直したところ、出典がどこにも見つかりません。あと1日遅れていたら、そのまま顧客に出していました。
それ以来、数字が出てきたら必ず出典を聞き、示せなければ使わないと決めています。
提案書らしくない文章の癖
次に困ったのが、文章の癖です。
「〜が重要です」「〜が求められています」。この言い回しが並ぶと、読んだ瞬間に人の書いた文章ではないと分かります。上司は中身より先に、この不自然さに気づきます。
いまは出てきた文章を音読し、自分の口から出てこない言い方は全部書き換えています。
丸写しによる説得力の低下
そして最大の失敗が、丸写しでした。
きれいな文章ではあるのですが、顧客の現場の話がどこにも入っていません。質問されたときに答えられず、その場で気まずい思いをしました。提案書の説得力は、文章のうまさではなく現場の具体性から生まれます。
ChatGPTに任せるのは型まで。中身は自分の足で集めた話を入れる。この線引きに落ち着きました。
ChatGPT提案書に関するよくある質問

最後に、同僚からよく聞かれる質問をまとめました。最初につまずきやすい点ばかりです。
無料版でも提案書は作れますか
作れます。私も最初の半年は無料版でした。有料版との差は、長い資料を読ませたときの安定感です。まず無料版で試して、物足りなければ切り替えれば十分でしょう。
提案書1本にどれくらい時間がかかりますか
私の場合、これまで3時間かかっていた提案書が1時間半ほどになりました。最も短くなるのは、書き始めと手戻りの時間です。慣れるまでは2時間ほどを見ておくと安心です。
社外秘の資料を読ませても大丈夫ですか
読ませないでください。顧客名や金額が入った資料は、そのままでは入力しない。これが原則です。どうしても使いたいときは、社名と数字を伏せた要約を自分で作ってから渡します。
作った文章をパワポにどう移しますか
私は手で貼っています。見出し1行と箇条書き3つの形で出力させておくのがコツです。アウトライン表示に貼り付ければ、スライドの枠が自動でできあがります。
部下にも同じやり方を共有できますか
できます。ただしプロンプトより先に、入れてよい情報の線引きを共有してください。順番を逆にすると、事故のもとになります。私は線引きを1枚の紙にして配りました。
上司にAIを使ったと伝えるべきですか
私は伝えています。隠して使うほうが、あとで問題になりやすいからです。「骨組みだけAIに出させて、数字は自分で確認しました」と一言添えれば、たいていは問題になりません。
まとめ 明日から始める提案書時短

最後に、この記事の要点を振り返ります。
- 時間を奪うのは白紙と捜索と手戻りの3つ
- ChatGPTには骨組みだけを任せる
- 数字と事実は必ず自分で裏取り
- 顧客名と金額は入力しない
- 上司には使ったことを伝える
全部をいきなりやる必要はありません。明日の提案書で、ステップ1の骨組みづくりだけ試してみてください。白紙を見つめる30分がなくなるだけで、手ごたえは十分にあるはずです。
私もまだ試行錯誤の途中です。うまくいった方法も、失敗した話も、この先この場所に書いていきます。同じように提案書と議事録に追われている方の役に立てばうれしいです。

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